その時その時に浮かんだ物語りが、私の手の中で形になり、見る人に語り始め、その人の記憶の一部となってずっと生き続けてくればこれほどうれしいことはありません。いとおしいと思う心、美しいと思う心を持ち続け、古布に助けながら、感じるままに、作り続けたいと思います。
人形つくりの中で好きなときは、顔をつくるとき時と衣装を着せる時であり、古いいにしえの布がその人形を着飾るとき、命ののないはずの人形が生き生きとして、今によみがえます。そのとき人形たちは昔と今を紡ぎ、そして明日へ向かって一つの物語りを語り始めてくれます。この瞬間をいつまでも人形と共有できることが私の人形に対する想いなのかもしれません。
